アメリカ人作家、フォトグラファー、美術史家であるテジュ・コール(Teju Cole)の作品集。2020年11月3日のアメリカ大統領選挙までの5週間に、作者は米マサチューセッツ州ケンブリッジにある自宅のキッチンカウンターを撮っていた。ジャン・シメオン・シャルダン(Jean Siméon Chardin)やポール・セザンヌ(Paul Cézanne)、オランダ絵画の巨匠たち、そしてローラ・レティンスキー(Laura Letinsky)やヤン・グルーバー(Jan Groover)といった現代写真家たちの静物作品の伝統を受け継ぎ、毎日撮影を行った。この偉大な先人たちとは違い、テーブルの上のものの配置は完全に偶然に任せられていた。「予想もできない配置の中をボウルや皿が動き回っていた」と作者は言う。こうして、社会的、文化的、政治的に大きな変化が生じた一時期を通じて撮り続けられた、ある家のキッチンカウンターの驚くべきポートレイトが生まれた。写真に合わせ、飢え、断食、服喪、奴隷、親密さ、絵画、詩、写真の歴史など、作者の多岐にわたる関心事について書かれた長文エッセイを収録。文章と写真によるシークエンスのところどころに、ケンブリッジで見つけた無名の著者による18世紀の手書きの料理本のページが差し込まれている。作者ならではの型破りな表現と知的でうがったものの見方が伝わってくる、理知的かつ人間味あふれる名作。136p 25x19cm ハードカバー 2021 English.
「文章と写真を組み合わせた表現に魅かれたアーティストは数多いが、テジュ・コールほど巧みにそれをやってのけたもいのはいない。彼はそれぞれの表現媒体の限界と優れた点を理解した上で、この問題に取り組んでいる」― スティーブン・ショア(Stephen Shore)136p 25x19cm ハードカバー 2021 English.
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