ラテンアメリカの有名な写真家、グラシエラ・イトゥルビデのアプローチには、ドキュメンタリーと叙情性が組み合わされている。オフセンターな構図、グラフィック効果、重い影は詩的な世界を作り出し、違和感が厳しい現実感と調和している。鳥があふれる空や、鶏が市場の屋台に利口な様子で座っている状況など、彼女の構図はコミカルで予想外の状況を描く。また別のシーンでは鳴きかう鳥の群れが、流れるような機敏な動きで景色に侵入するかのようだ。イトゥルビデにとって生きている鳥は自由を表す。けれども彼女の作品では死は決して遠く離れてはおらず現実を超越した感覚でもない。血、肉、泥、汗、そして地球と結びついた有機的な面もグラシエラ・イトゥルビデの写真の多くに見られる。彼女は現実と特別な関係を持ち、レンズでまたとない瞬間を捉えることを選んでいる。鳥と人は共生し互いに擦り合っている。インドからメキシコまで、カモメ、ワシ、ハト、サギ、ワタリガラスが人間の空間に侵入したり、あるいは運よくこっそりと入り込んでくる。イトゥルビデの写真を見るものは、彼女が写真に撮った鳥たち、その脆さ、そして時には私たちの注意を引く彼らの恐ろしい力に魅了されると同時に嫌悪する。(publisher's description)104p 26x21cm 53photo ハードカバー・クロス装 2019 Eng/Fre
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