ここ数年にわたる生成AIの急速な進化は、人類に新たな可能性をもたらす一方で、未知の脅威も予感させています。しかし、膨大なデータから生成されるものは、しばしば多様性を欠き、平均化された“典型的”な世界へと向かう傾向にあります。本作は、画像生成AI「Stable Diffusion」を用い、「typical(典型的)」という言葉をプロンプトに組み込むことで、AIが“典型的”をどのように捉え、表現するのかを探求しています。“典型的な平和”“典型的な大統領”“典型的なテロリスト”“典型的な愛”─。無限の可能性を秘めていたはずの生成AIが生み出す“Typical World(典型的な世界)”には、私たちの未来への問いが隠れています。(publisher's description)
「本作で使用したStable Diffusionは、現在世界中で使われている主な画像生成AIツールのひとつで、特定の地域の特定の企業が開発している。どこかの誰かのものの見方の物差しで作られている以上、生成される画像は一見虚構の世界だけで完結しているようでいて、現実の社会的規範や政治性、信念体系や偏見がたっぷりと反映されている。画像生成AIで画像を生み出すプロンプトとして、「typical」に続けて、私の物差しで選んだ言葉を追加してみる。すると、いまのAIが見せたい典型的な世界が写し出される。そのTypical Worldは、あらゆる次元で現実世界と影響し合い、特定の世界観が増幅されている。光を失った洞窟の闇の中では、自分の影と他者の影を見分けることは、難しい。」苅部太郎(本書掲載あとがきより)32p 24x17cm 30photo ソフトカバー 2024 Japanese
[苅部太郎(Taro Karibe)]
1988年愛知県生まれ、東京都在住。 写真メディアや人・機械の認識システムの根源に立ち戻りながら、「ものを見る経験」の実相を考察する。心理学・感染症予防・金融・ITに携わった後に写真表現をはじめる。写真技術はHarry Gruyaert / Magnum Photosなど複数の写真家の助手などを通じて習得。主な個展に「あの海に見える岩に、弓を射よ」MASQ(東京、2024)、「電子的穴居人」 HECTARE(東京、2023)、「沙織」京都国際写真祭 KG+ SELECT(京都、2021)、「Age of Photon/INCIDENTS」IMA gallery(東京、2020)、「Saori」パディントン市庁舎, Head on Photo Festival(シドニー、2018)。グループ展にAuckland Festival of Photography(ニュージーランド、2024)、浅間国際フォトフェスティバル(長野、2023)、 「Platform 29.8」ANB Tokyo(東京、2022)、「LUMIX MEETS/ BEYOND 2020 BY JAPANESE PHOTOGRAPHERS #6」(パリ、Photo Saint Germain・アムステルダム、Unseen・東京、IMA gallery、2019)。主な受賞にMAST財団助成金ノミネート(伊、2024)、Japan Photo Award Elisa Medde賞(2024)、Tokyo Frontline Photo Award 川島崇志賞 (東京、2023)、第18回写真「1_WALL」ファイナリスト(東京、2018)など。
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