ジェフ・ウォールの個展がホワイトキューブ・バーモンジーで開催される（2024年11月−2025年1月）ことを記念して刊行されたこのモノグラフは、ウォールとホワイトキューブの30年にわたるコラボレーションを祝うもの。ギャラリーとアーティストの歩みをたどる構成になっており、ホワイトキューブでの各展示を軸に章立てされている。展示の記録としての機能を持ちつつ、ウォールの作品史としても読み応えがある。細部にこだわった記述や大判の折り込み図版がふんだんに使われており、ジョナサン・ヘアズのスタジオによるデザインも目を引く。ウォールの初期写真作品を紹介するパートでは、その後数十年にわたって展開されていく表現の進化が読み取れる。マリア・H・ローによるエッセイは、絵画的なフォルムを手がかりにいくつかの作品を精査する内容で、「良い写真とは、ゆっくりと誘惑してくるものだ」という視点から、作品をじっくり見ることの意味を掘り下げていく。もう一編のエリカ・ボルサムによるテキストは、ウォールの現実描写の試みと、それに内在する謎を保持しようとする姿勢に注目しつつ、彼の作品が映画とどのように響き合い、フィクション性や演出性を通じてどう変遷してきたかを読み解いている。
204p 29x29cm ハードカバー 2024 Eng/Ger
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