エリオット・アーウィットは、なんでもない日常の中に潜む特別な瞬間を捉える達人だった。スターであれ、通りすがりの見知らぬ人であれ、人間でも犬でも、彼のレンズを通して世界を見るとき、そこにはいつも独特のユーモアが添えられていた。そんな彼のモノクロ写真には、まぎれもない個性が宿っている。皮肉まじりの視線で切り取られた他人の暮らしが、気づけば時代の記録として残る——そんな写真がこの一冊には詰まっている。懐かしさとユーモア、そしてどこか切なさを感じさせる、選び抜かれた瞬間の集まりである。エリオット・アーウィットは、雑誌写真の世界における重鎮であり、名門マグナム・フォトの長年のメンバーにして副会長も務めた人物。世界を飛び回ったフォトジャーナリストとして、歴史の現場も、街角の一瞬も、誰にも真似できない眼差しで写し取ってきた。マリリン・モンローやジャクリーン・ケネディといった著名人、ニューヨークの街に生きる無名の人々、そして彼が愛した犬たち——そのどれもを、日常の中にある可笑しみとともに捉えてきた。
2023年にこの世を去った彼だが、その遺産は今も生きている。最後に自ら編集した本書には、彼らしいウィットが、白黒の写真にそっと刻まれている。(publisher's description) 208p 34x28cm ハードカバー 2025 Eng/Ger/Ita/Fre
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