ロベール・ドアノーの「人間らしさ」を見つめるまなざし。人の苦しみにも、ささやかな喜びにも敏感だったロベール・ドアノーは、1950年代に広まった「ヒューマニスティック・フォトグラフィー（人間主義的写真）」を代表する写真家のひとりである。とりわけパリの街を写した詩情あふれるポートレートで愛されており、魅力的な人物やユーモラスな出来事、そして一瞬の愛情を見逃さず、完璧な構図でとらえる独自の感性を持っていた。本書は彼の輝かしいキャリアを総括するような内容で、パリを舞台にした代表作はもちろん、あまり知られていない作品も多数収録されている。「ありふれた状況の中での、ありふれた人々の、ありふれたしぐさ」に宿る美しさを、ドアノーは見逃さなかった。写真家自身の言葉も随所にちりばめられていて、彼の思考や感性――繊細さ、温かさ、そしてユーモア――が言葉としても伝わってくる。写真を通して、私たちはドアノーが育った荒れた郊外や、彼が敬意を抱いていた労働者たちの世界へと導かれる。彼の幼少期の郊外が変貌した姿をカラーでとらえた写真も収録されており、そこには、かつての郷愁とは異なる、より批評的な視線も感じられる。（publisher's description）504p 22x16cm ハードカバー 2025 Eng/Fre/Ger
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