写真家・鷹野隆大の写真集。本書は、第31回木村伊兵衛写真賞を受賞した『IN MY ROOM』(蒼穹舎、2005年)と、100部限定で出版された『in my room 6×6』(GALLERY TAGBOAT、2006年)を収録し、再構成したもの。長らく絶版となっていた二つの作品が、新たな一冊として紡がれる。
本作は2005年に蒼穹舎より刊行された写真集の復刊である。はや20年以上前の話だ。当時わたしは素敵だと思う人を自宅に招いて写真を撮っていた。触れ合わない愛撫にも似た時間のあとには、さまざまな人影がフィルムに残った。いま思い返すなら、それは一つの小部屋で共に過ごした時間の空気が波動となって記した痕跡のようにさえ思える。
ただし、あのときわたしが考えていたのは、相手との親密さを表現することではなかった。他者を他者として、わからない存在として、そのわからなさを表すことだった。それゆえ画面に情緒が持ち込まれることを極度に警戒していた。こうして完結した『In My Room』シリーズは、いずれも手持ち撮影が困難な4x5判のカメラで撮影したものだった。
一方、もう少し手軽な6x6判カメラでも同時に撮影していた。こちらは他の可能性を探るための試験的なものだった。当初は発表するつもりはなかったのだが、やがて“他の可能性”を表に出しても良いのではないかと考えるようになり、2006年にゼロックスコピーを用いた手製本として発表した。
今回、二つをまとめて上梓することができ、長い間放置してきた宿題を一つ終えたような安堵を覚えている。 ――2026年2月 鷹野隆大(publisher's description) 144p 29×21�� 2026
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