洋書写真集とアートブックの専門店

No. 11809
Sung Jin Park: Kid Echo
12,500円(税込13,750円)

 
韓国人フォトグラファー、パク・ソンジンの作品集。2000年代初頭に撮影された未発表作品のみで構成された本書は、『Kid Nostalgia』(2014年、propaganda press刊)で探求されたティーンエイジャーたちのポートレイトを、あらためて見つめ直す一冊である。被写体との直接的な出会いを中心に構成された本作からは、作者のポートレイトに対する卓越した感覚と、若者たちへ向けられた繊細な眼差しが静かに浮かび上がる。これらの写真が撮影されてから20年以上を経た今、作者自身もまた、その曖昧さや感情の複雑さにあらためて魅力を感じている。ソウル生まれの作者は、ニューヨークで教育を受け、プラット・インスティテュートで絵画と写真を学んだ。その後韓国へ戻り、ソウルや郊外で出会った若者たちを撮影し始めた。ニューヨーク滞在中には、ウォーカー・エバンス、アルフレッド・スティーグリッツ、ポール・ストランド、ダイアン・アーバスらの作品に触れ、写真を単なる記録ではなく、感情や心理を映し出す表現として捉えるようになった。また、フランス・ヌーヴェルヴァーグ映画、特にジャン=リュック・ゴダールの作品からも強い影響を受けている。作者は若者文化を社会的に定義づけるのではなく、姿勢や表情、視線のなかに現れる微かな感情の揺らぎに惹かれながら、直感的に撮影を続けた。本書に収録されたライター、キュレーターのマーク・フューステルとのインタビューのなかで、作者は自身が追い求めていたものを「感情の瞬間」と語っている。それはアンリ・カルティエ=ブレッソンの「決定的瞬間」という概念にも通じるものだった。しかし作者にとって重要だったのは、完璧な構図や物語性ではなく、被写体の感情が自然に立ち現れることだった。「完全にリラックスした状態になった時、その人の無垢さが自然と現れることを望んでいた」と作者は振り返っている。思春期という複雑で揺れ動く感情の時期は、長年にわたり世界中の写真家たちを魅了してきた。本書には、ナイジェル・シャフランの観察的な親密さ、ヨハン・ファン・デル・クーケンによる『Wij zijn 17(We Are 17)』に見られる感情に満ちた若者たちのポートレイト、そして長島有里枝の『Empty White Room』に漂う内省的な空気感とも共鳴するものがある。『Kid Nostalgia』の軽やかで即時性のある作品構成に対し、本書は、よりゆっくりと写真に向き合うための作品集として構成されている。作者自身によって丁寧に編集され、厚みのあるマット紙に印刷された本作は、写真の繊細な階調や静かな感情の親密さを際立たせている。『Kid Nostalgia』では、正面から撮影したポートレイトに加え、後ろ姿や身体の断片、空気感を重視したイメージが織り交ぜられていたが、本書では、より直接的で正面性の強いポートレイトへと焦点が絞られている。その結果、被写体一人ひとりと、より深く静かな関係性が生まれている。柔らかく、直感的で、そして簡単には説明しきることのできない本書は、思春期の脆さや感情の力強さを、作者ならではの繊細な眼差しで捉えた、極めて稀有な作品集である。 152p 24x29cm ハードカバー 2026 English

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