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長沢慎一郎: Mary Had a Little Lamb
2008年から小笠原に通いつづけ、島の人々や場所との交流を深めるなかで、第二次世界大戦後の米軍占領期間の影響や痕跡に目を向けるようになった長沢慎一郎。「米軍占領下の父島には『メリーさんの羊』と名付けられた核弾頭が配備されていた」アメリカの童謡に由来する名をもつ核弾頭がこの島に存在したとされることを告げ、山中の壕の内部へとカメラは歩を進める。ある壕の奥、もうひとつの壕が現れた。ないはずの核が置かれた場所。今はそれが不在である空間を写した写真は、失われた時間と記憶の圧倒されるような量感を湛えている。
6,000円(税込6,600円)