1997年杉本博司は「建築を通して我々の時代の始まりをたどる」という意図からモダニズム建築の重要作品の写真シリーズを始めた。杉本の作品の特徴のひとつはメディアの技術的熟練である。彼は8x10ビューカメラだけで写真を作成し、彼のゼラチンシルバープリントは、その色調範囲、粒子の完全な欠如、細部の豊かさ、全体的な光学精度で有名である。しかしながら建築写真を作成するに際して、彼は通常のプロセスを逆にした。「私の古い大判カメラの焦点距離を無限大の倍にすることで、最高の建築はぼやけた写真の猛攻撃に耐えることを発見しました。そうして、私は建築がどこまで耐えるか侵食テストを始め、その過程で多くの建物を完全に溶かしてしまいました。」モダニズムの建築言語は、ル・コルビュジエのサヴォア邸やミース・ファン・デル・ローエのシーグラムビル、フランク・ゲーリーのビルバオ・グッゲンハイム美術館の写真から抽出される。不鮮明さと色彩の欠如のおかげで杉本のイメージは建物の表層を引き剥がし本質、つまり建築家の最初の純粋な形のヴィジョンだと思われるものをあらわにする。多くの人間が協力して行う仕事の自然な結果である構造や欠陥の細かな部分はなくなり、代わりに光と影が建物の形態を定義する。本書の写真は時間と歴史の経過に関するアーティストの長年の調査を継続するものである。人間の創意工夫と産業時代の力に向けたこれらのモニュメントは見てのとおり永遠なのだろうか? (publisher's description)90点の収録作品中、19点が初公開となる。160p 29x26cm 90photo ハードカバー 2019 English
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