洋書写真集とアートブックの専門店

No. 9106
長島有里枝 Yurie Nagashima: Self-Portraits
4,000円(税込4,400円)

 
長島有里枝の個展「そしてひとつまみの皮肉と、愛を少々」(2017年)でのスライドショーのなかから作家本人が選び抜いた24年分のセルフポートレイトを収録。バックパッカーとして旅をしていた学生時代のモノクロ作品から始まる本書は、アーティストとして知られるきっかけとなる初期のヌード作品、90年代東京の空気を伝えるストリートでのセットアップ、カリフォルニア芸術大学留学中に撮影された写真へと続く。帰国し、親となった2000年代以降にも、長島はセルフポートレイトを撮り続けている。 巻頭の対談で長島は、これらのセルフポートレイトはアクティビズムの一形態であると述べる。特に初期の作品を指して、自らを被写体としてヌードグラビアや写真集のパロディーを撮ることは「わたしにとっては、女性の身体に向けられる男性社会からの視線がどのようなものであるかに言及するための方法」なのだと。初期の作品に顕著なパフォーマティブな側面は、シークエンスが進むにつれて次第に個人日記のような印象を強める。しかし幼い子や犬の姿が登場する頻度が減りついに見られなくなる頃には再び、スナップショットなのかセットアップなのかを一概には判別できないコンセプチュアルな作品へと移行していく。「セルフィー」や「映え」のようなSNSから生まれた2010年代以降の新しい写真文化に対抗するかのように。「写真はほぼ時系列に並んでいるから、わたしの変化がわかりやすいと思います。撮影方法、レンズそして機材。コンパクトフィルムカメラも4x5も、よく使うようになったのは子供が生まれてから。自分の経験や環境が変わると、主題も変わります。出産を機に、フェミニズム的な問題を取り上げて作品にすることが多くなり、2011年の原発事故を機に、自国の政治により目を向けるようになりました。個人的な興味や加齢によっても、主題は変わりました。 若いときは、自分の身体は自分のものだから好きなように使っていいと思っていましたけれど、息子が生まれてその考えは完全に変わりました。セットアップであれ、スナップショットであれ、わたしの写真はとてもパーソナルな作品だと思います。」Second Edition 172p 18x12cm ソフトカバー 2020 English.

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