アメリカの写真家、アレック・ソスが写真という表現手段を礼賛する意識の流れが見える2018年から2021年にかけての新作。とりわけプリントされたイメージとして表現・想起される本書では、バードウォッチャー、避寒客、リンカーン大統領の胸像など幅広い被写体を描き出すなかで、体験を貼り付け結晶化する写真的欲求が反映されている。この雑多なイメージからなるシーケンス全体を通して、図像学的なもの、過去の出来事を思い出させるもの、日々われわれを取り巻くイメージメーカーが繰り返し現れる。屈曲し内省的なロードトリップを形作るソスの写真に続き、彼自身によるメモあとがきが綴られている。「本書の写真には、きらめく表層以外に意味はありません」「この作品群はイメージの制作過程についての写真です。恍惚なまでに特定の世界に入りこむこと、はかない光や時間と物理的な眼球やフィルムのつなげることについての写真です」
本書には、日常を写し出した無名の写真家たちによる写真の複製プリント5枚がランダムにページの間に挟まれている。アメリカのSean Kelly Gallery、Weinstein Hammons Gallery、raenkel Galleryを巡回する個展に伴い刊行。156p 25x31cm ハードカバークロス装 2021 English.
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