風景の中を移動することが何を意味するのかについての作品。イングランドのカントリーサイドにある何世紀も前から続く広大な歩道のネットワークに沿って歩きながら、アーティストであるサム・コンティスは、塀やフェンスを越えて私有地に入るための通路となるシンプルな構造物である「踏み越し段（stiles）」に注目した。彼女のモノクロ写真のシークエンスでは、それらは風景の中で繰り返される彫刻的な形となり、一方では自由な移動への誘い、他方では囲いの歴史を思い起こさせるものとなっている。木や石で作られ、それぞれがユニークで、前方を示す目印のようにも、朽ち果てて下草に半ば隠れているようにも見える。作家のデイジー・ヒルヤードによるエッセイは、この作品群を英国の景観の歴史と現代のエコロジーに関する言説の中で文脈づけている。ナショナリズムが台頭し、国境が再び主張される時代にあって、本作は私たちがどのように境界を越え、誰が空間を所有しているのか、そして私たちが自然環境をどのように形成してきたのか、今後どのように形成していくのかを考えるきっかけを与えてくれるだろう。
本書は、Joy of Giving Something Foundation（JGS）の協力により実現したもので、Aperture JGS Book Awardの支援を受けた最初の出版物となる。この賞の目的は、写真の分野を形成する可能性を秘めた作品にふさわしいアーティストを支援するである。(publisher's description) 224p 25x17cm 122photo ソフトカバー 2022 English
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