日本人写真家、須田一政の作品集。本書は、1991年、聖夜(クリスマス・イブ)に、作者が東京で撮影した写真を収録している。60p 28x28cm ハードカバー 2022 Eng/Fre/Jap
クリスマスにイエス・キリストに想いを馳せる日本人はどれだけいるだろう。とりあえずイヴはケーキを買って家庭にかえる、恋人達は一年で一番ロマンチックな時間を過ごす、こんな習慣が当たり前になっている。「バカヤロー、クリスチャンでもあるまいし」なんて急に仏教徒ぶってみたところでなんだか空しい。日本にとってクリスマスは「愛」という信仰を確かめる日なのだ。本来、愛情表現が不器用な国民にとって、これは一種の受難である。花束を差し出す仕種も西欧のそれとはほど遠い。受けとる方もうつペコッ頭をさげたりして、会ったとたんにギクシャクしちゃう。日本人が一番ダサく見えるのは、クリスマスイブなのかもしれない。そしてこのぎこちなさとともに、人はビルの間の闇に吸い込まれていく・・・
— 須田一政, 聖夜, 1991年
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