洋書写真集とアートブックの専門店

No. 11121
Romain Laprade: Distances vol.III(ご予約)
7,500円(税込8,250円)

 
フランス人フォトグラファー、ロマン・ラプラードの作品集。2019年刊行『DISTANCES』、2022年刊行『DISTANCES VOL.II』の続編。ラプラードは「Vogue Paris」や「Holiday」などの雑誌でグラフィックデザイナーとして活動し始めたが、15歳の時に感じた写真への情熱を捨てきれず写真家へと転向。機微に冨み観る者の好奇心を駆り立てる画面を作り出し、一見平凡で退屈なものの細部に焦点を当てることで独自のイメージへと昇華している。温かなトーンや構図の感性、自然光を利用したその作品は、Louis Vuitton、Hermès、Saint Laurent、Aesopや Rimowa、Mr Porter、Isabel Marant など多くのブランドともコラボレーションを果たし、それぞれのブランドの魅力を写真で世に伝えて来た。また、デザイナーとしての経験は構図、比率や調和、イメージと空間との関係に対する感覚を磨き、写真作品にも反映されている。本作では、絶えず増えては発展していく自身の写真が描くヴィジョンをさらに広げ、場所、形、そして光をより深く探っている。直近2年間に撮影された最新作品群の多くに光を当てつつ、アーカイブの中からも抜粋して収録しながら、建築や風景との対話を深め、見逃してしまいがちな美しさを見つけることに長けた自身の直感に忠実でありながら、新たな場所をとらえている。太陽に照らされた海岸線、見渡す限り広がる砂漠、そして人知れず静寂を守る街の片隅を歩きながら、本作は大陸を渡り、構造と静けさとの間に生じている繊細な関係を写し出している。アメリカ西部からアフリカ、ヨーロッパ、そしてさらに遠くまで、光が面を形作る様や、いかにして儚い瞬間が日常的な場所をまるで映画のような質感にするのか、作者の視線はそこに引き寄せられている。本書は、作者が写真の世界において無二の声を発している存在であることを改めて実感する作品であり、観る者の歩みを緩やかにし、じっくりと見つめさせ、見慣れているものに新たな視点を与える。作者は、緻密でありながらも本能的な様子が垣間見える写真言語を構築してきた。空間を、光、色、形といった本質的な要素にまで解体するようにとらえ、それぞれの場所の繊細な美しさを浮かび上がらせている。作者は日常的なものをその目で見ていながらも、まるで異なるものであるかのように、作品を通じて我々に見せるのである。『DISTANCES』シリーズは、長年にわたり撮影されてきた写真をまとめた連作であり、モダニズム建築やブルータリズム建築、つかの間に落ちる影、見落とされがちな空間に対する関心が形になった作品である。3巻を通じ、作者は散漫さや雑念を剥ぎ取るようなイメージを提示し、そこに沈黙と存在感を残す。陽の光が差し込むファサードから閑静なインテリア、広大に開けた風景まで、本作は気づかないままであるかもしれない瞬間を写し取り、観る者がいつもより歩む速度を落とし、新たな目線で空間を見つめるよう促すのである。初版500部。92p 29x22cm ソフトカバー 2025
*4月下旬〜5月上旬入荷予定。

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