雑誌『写真』第5号。人間の「顔」、写真と肖像の関係性について考える。金川晋吾、Ryu Ika、有元伸也、鈴木理策、星 玄人、山元彩香、中平卓馬、他。
「人間の「顔」をめぐる写真的試みは、写真館での肖像写真から、家族のアルバム、スマホでの自撮り写真まで、これまでさまざまな手法によって人々の生活に溶け込み、発展してきました。
一方、写真表現において、「悲しそうな顔をした猫の図鑑はない」、写真は「事物が事物であることを明確化することだけで成立する」ものでなければならないと主張した中平卓馬による『なぜ、植物図鑑か』(晶文社/1973年)の問いかけは、当時の写真界、写真家たちに大きな衝撃をもって受け入れられました。
それから半世紀となる二〇二三年の現在、写真や画像をめぐるテクノロジーは加速度的な進化を遂げ、この世に実在しない猫の写真をいとも簡単に生成すること(「These Cats Do Not Exist」)も可能となり、生成AI技術、ディープフェイクなどが日常化し、人々は写真に映る事物の存在そのものを問われるようになりました。雑誌『写真』5号では、人間の「顔」、写真と肖像の関係性について考えてみたいと企画し、主題を「フェイス/Faces」としました。
長引くコロナパンデミックは、人々の生活をドラスティックに変え、あらゆる既成概念が根本から覆されるような時代状況のなか、一枚の写真のもつ意味や解釈もさまざまな変革を問われています。
人がマスクで顔を隠すことが当たり前となった期間や、オンラインによる人と人とのコミュニケーションのあり方は、人間の「顔」というものを鏡のように浮かび上がらせ、自己と他者、リアルとバーチャル、とりわけ自分の「顔」というものについてあらためて考えるきっかけになったのではないでしょうか。
人間はなぜ顔に注目するのか、地球上の生物にとって顔とは何か、顔の写真は未来に何をもたらすのか、読者の皆さんと共に考えていきたいと思います。」編集長・村上仁一 21x15cm ソフトカバー 2024 Jap/Eng
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