イタリアのカラー写真界のパイオニアでもあるルイジ・ギッリの作品集。2021年5月から11月にかけてイタリアの「Casa Mutina Milano」で開催した展覧会に伴い刊行された。イタリアのタイルブランド「ムティーナ(MUTINA)」は、「タイルはアートである」というビジョンのもと、デザイナーや建築家、イラストレーター、アーティストと協働し、タイルの世界に新たな風を吹き込んできた。自社ショールーム兼展示スペースであるミラノの「Casa Mutina」では、企業活動の一環として、現代アーティストの作品とタイルをコラボレートした展覧会を行い、現代美術への支援も積極的に行う。本「MUT Books」は、「Mutina for Art」と名付けられた展覧会プロジェクトに付随する書籍シリーズであり、全て同じ小ぶりなフォーマットとクロス製本のハードカバーで綴じられている。作品や展覧会風景に加え、キュレーターによるエッセイや考察、アーティストへのインタビューが収録されている。サラ・コズリッチがキュレーションを務める本展では、CEOであるマッシモ・オルシーニが所蔵する作者の写真作品を中心に展開された。作者の写真は、示唆的でありながらも革新的な形で現実を見つめる方法を我々にもたらしてくれる。作品は、作者の私的な視覚言語と「外側」を表現する能力を絡めており、人間の地形学にまつわる象徴的かつ経験的な説明のために形を与えられているのである。1970年代に制作されたコンセプチュアルな作品や、「Atlas」「Stil-Life」シリーズから、街頭広告のイメージ、自然と「人工的」な空間が織りなす日常的な表現まで、幅広い作品群が集う。展覧会では、1980年代に成された風景への追究も紹介され、「Paesaggio Italiano」で記録された写真旅行のイメージや、他の旅行記も展示される。展示では、イメージとともに陶器を用いたディスプレイが展開されていおり、そのことが相互作用を生み出している。デザイナーであるコンスタンチン・グルチッチがデザインしたタイルコレクション「DIN」が用いられ、その構成と色合いが、作者の写真に驚きを与えるような背景をもたらし、思いがけない解釈を生み出している。 写真のセレクトと展示の選択、いずれも、作者によるフレーミングへのこだわりと、経験に基づく空間の中に存在する、普遍的な視界の空間を構築する作者の能力を強調するものである。本書では、娘のアデーレ・ギッリや友人のフランコ・グエルゾーニなど、作者と親交のあった人々や、様々な枠を超えて作者を知る人々の思いを交えながら、作者の作品と精神の真髄を語る。118p 22×15cm ハードカバー 2021
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