松岡正剛の一周忌に合わせ、追悼を込めて出版された書画集。他界後に書斎の片隅から見つかった、鳥のさまざまな姿態を描いた習作を、マッチアンドカンパニーの町口覚の編集・造本設計により一冊にまとめたもの。著書『花鳥風月の科学』のなかで「鳥は《ここ》(here)と《むこう》(there)をつなぐ媒介者であり、風と同様の情報を運ぶメッセンジャーである」と述べた松岡が密かに残した鳥たちはまるで自身を表したかのようである。
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その思索の奥底にはいつも、「かたち」と「余白」への深いまなざしがありました。
文字、図像、構造、言葉になる以前の気配。
正剛さんが最後まで手放さなかったのは“見る”という行為そのものでした。
『千夜千冊エディション』(角川ソフィア文庫)全30タイトルの造本設計を通して、正剛さんと何度も言葉を交わしたぼくは、
編集という営みの奥行きと愉しさを、毎度その態度から教えてもらった気がしています。
その正剛さんがこの世を去ったあと、右腕として長年そばにいた編集者の方から、静かに一冊のファイルを見せていただきました。
そこには、半紙に墨で描かれた31羽のドローイングが言葉もなく静かに収められていました。
ただ「鳥」という一文字のかたちをめぐる──淡く、揺れながら、にじみ、すっと消えるようでも時に力強く跳ねる線──。
誰に語ることもなく、日々の余白に描かれていたそれらは、
まるでエチュード(練習曲)のように、繰り返され、重ねられていました。
書でもなく、絵でもなく、しかしたしかに──思索のかたちを帯びた“鳥”たち。
本書は、正剛さんが密かに描いていたその断片を一冊にまとめたものです。
文字が意味になる以前の、その輪郭を見つめるような行為。
静けさの中に宿る、言葉を超えた声。
どうぞご高覧ください。
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発行人/造本家 町口覚
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32p 17x24cmソフトカバー(小冊子付き) 2025 English
*8月中〜下旬入荷予定。入荷後の発送となります。
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