2016年、写真家のアンナ・フォックスとカレン・ノールは、友情と冒険、そしてコラボレーションの旅に出発した。彼女たちはモーテル、ドラッグストア、カフェ、Airbnbなどに立ち寄りながら、トランプ時代の分断されたアメリカ社会を歩き、立ち止まり、人々に出会い、観察した。2016年から2025年にかけて撮影された150点以上のカラー写真は、フロリダ州キーウェストからメイン州フォート・ケントまで続く長期のロードトリップの中で、小さな町々に焦点を当てている。 1954年、写真家ベレニス・アボットはアメリカ合衆国の国道1号線（U.S. Route 1）を縦断した。フロリダのモーテルからメイン州のジャガイモ農家まで、アボットは東海岸の各地に根付いたコミュニティを記録した。この旅で、彼女は8×10インチの写真を250枚以上、ローライフレックスを使って小型写真を約1000枚撮影しており、これは彼女のキャリアの中で、単一テーマに最も多くの写真を捧げたプロジェクトとなっている。 2014年、デイヴィッド・カンパニーによる著書『The Open Road: Photography & the American Road Trip』の出版をきっかけに、フォックスとノールは、アボットの「ルート1」を辿る共同のロードトリップを行うことを決めた。 アボットと彼女のアシスタントであるデイモン・ギャッド（およびサラ・ギャッド）による旅の足跡を追い、カレン・ノールとアンナ・フォックスは2016年に、トランプ時代のアメリカで、現代の生活を記録する旅を開始した。彼女たちはキーウェストを出発し、メイン州を目指して北上したが、旅がどれほど長くなるかは当初分かっていなかった。 旅の途中、フォックスとノールは、現在アメリカで何が起きているのか、そしてそれがアボットとギャッドの時代とどう違うのかを探し求めた。彼女たちはiPhone、デジタル一眼レフ、フェーズワンの中判カメラを使い、小さな町々、人々、ドラッグストア、カフェ、ダイナー、ホテル、モーテル、農場、工場、道路標識、広告などを撮影した。 アボットは道路とその標識、地域産業、物資の南北移動、自動車の普及、観光業の発展に注目していた。フォックスとノールは、アボットの仕事の重要性を再認識させることを目指し、U.S. Route 1の意味や、その周辺でどのように生活が発展してきたのかを見つめ直した。現在この道路は、かつてに比べるとかなり静かなものとなっている。 2016年から2024年にかけて、フォックスとノールはアメリカを縦断し、環境問題や、働くアメリカ人が政治やエリートに対して抱く不満から生じる社会的不安について考察した。2020年から2022年にかけてはCOVID-19により移動が制限されたが、彼女たちはその間、トランプ支持者による1月6日の議事堂襲撃事件の際など、SNS上で共有された写真の記録を続けた。2024年にはメイン州とフロリダ州への最終的な2回の旅を行い、このプロジェクトの一区切りとした。 アメリカは世界で最も進んだ経済国の一つでありながら、今なお保守的な側面が強く残っている。アメリカ合衆国憲法修正第2条は、武器を保有し携帯する権利を保障している。また、27の州では14歳の少女が（保護者の同意があれば）結婚することが認められている。2022年6月24日、アメリカ連邦最高裁は、妊娠24週までの中絶を認めていた1973年の「ロー対ウェイド」判決を覆し、各州が中絶を全面的に禁止する道を開いた。 アメリカの刑事司法制度には、特に黒人と白人の間での収監率に大きな偏りがある。黒人男性は暴力と差別の被害者であるだけでなく、全人口平均と比べて25倍もの収監率となっている。2013年には、3人の女性によって「ブラック・ライブズ・マター（BLM）」が立ち上げられ、体系的な人種差別の根絶と警察による暴力の防止を訴える世界的な運動となった。それに先立つ2006年には、女性支援活動家のタラナ・バークが「#MeToo」運動を始め、特に若い有色人種の女性たちが性的暴力から回復するための支援活動を行ってきた。2017年、ハーヴェイ・ワインスタインの性的暴行が報道されると、この運動は国際的な注目を集めた。 2024年11月5日、ドナルド・トランプは2度目の大統領選に勝利した。そしてわずか2週間後の11月17日、ある一枚の画像がSNS上に現れ、アメリカにとって前例のない時代の始まりを告げることとなった。そこには、トランプと彼の右腕であるイーロン・マスク、ロバート・ケネディが、「トランプ・フォース・ワン」の機内でマクドナルドのハンバーガーを楽しむ姿が写っていた。(publisher's description) 208p 26x22cm ハードカバー 2025 English
アルルのRencontres de la Photographieにて2025年7〜9月の間展覧会開催。

掲載のイメージや情報は発売前のリリース情報に基づいて制作する場合があり現物と異なる際は現物を優先させて頂きます。

こちらはShelfのオンラインストアのページです。実店舗の在庫、扱い商品については店舗へ直接お問い合わせください。