ロジャー・バレンのカラー写真作品を紹介する本書では、バレン独特の混沌とした、時に不条理な心理空間──「バレン的世界」に根ざした圧倒的なイメージが展開される。かつてカラー写真には関心を示さなかったバレンだが、2016年にライカSLを贈られたことをきっかけに、この表現手法に挑戦することになる。カラーの可能性を作品に取り入れたバレンは、光を創造的に用い、新たな実験の道を切り開いた。本書では、動物やアール・ブリュット風のドローイングが支配する不条理で奇妙な世界を描き、人間は不可解な人物や身体の断片として登場する。これらのカラー写真は、バレンのアートディレクター、マルグリット・ロスーと共に制作された。撮影は、古びた壁紙の貼られた木製パネルの狭い空間で、最小限の照明のみを使って行われた。この密閉され圧迫感のある環境の中で、バレンは多くの人が言葉では説明できない世界を生み出す──不条理、混沌、喜劇、悲劇が、あたかも同時に存在しているかのような世界を。『Spirits and Spaces』は、現代写真界でも独特な存在感を放つバレンによる、視覚的な驚きであり、芸術的進化の証でもある一冊。ロジャー・バレンのファンにとって必携の、待望の写真集となるだろう。(publisher's description) 144p 31x29cm ハードカバー English 2025
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