1989年1月のある晩、パオロ・ロヴェルシはケララ地方コーチンのマラバル・ホテルに立ち寄った。彼はこれまでにも何度かインドを訪れていた。その晩、ピエル・パオロ・パゾリーニの『インドの香り』を読み始めたとき、ふと気づく。自分が滞在しているのは、ほぼ30年前に同じイタリア人作家が宿泊したのと同じホテルだったのだ。1961年、パゾリーニはアルベルト・モラヴィアとエルザ・モランテとともにインドを旅している。帰国後に書かれた『インドの香り』は、彼の印象、夜の散策、出会いを描写しており、西洋的視点からは遠く離れた異なる人間性に触れた驚きと繊細な体験が表現されている。
30年後、パオロ・ロヴェルシは同じく神秘的で幻想的なインドを描き出す。セピア調や粉のような色彩を用いた、彼自身の美学の象徴的な表現である。光の変化や立体感の描写によって、夢のように浮遊する世界が生まれる。朽ちかけた大理石の宮殿、小さな商店、ロバや聖なる牛が行き交う路地、琥珀色のヴェールに包まれた砂の谷、そして何よりも、ロヴェルシの眼差しによる優雅さと柔らかさが宿る男女や子どもたちの肖像。彼らが仕事に集中している瞬間であれ、カメラの前に立つ姿であれ、それらはインドの万華鏡のような肖像を形作る。
パゾリーニの原文とともに刊行された本書は、読者を神秘的で幻想的なインドの世界へと誘う。書の末尾では、パオロ・ロヴェルシが、パゾリーニがかつて出会った孤児レヴィを探す旅を描き、付録にはイタリア人作家の書簡集や、フランス語で初めて公開されたインタビューが収められている。(publisher's description) 192p 27x21cm ハードカバー 2025 English
*1月上旬入荷予定。
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