本書は、商業的グラマー、逸脱したスナップショット、私的なセクシュアリティ、スタジオでの遊戯といった要素が複雑に組み合わされたロー・エスリッジの視覚的ブリコラージュのなかで、欲望を主題であると同時に方法としても探求している。
持ち味である斜に構えたさりげないスタイルを通して、エスリッジはセクシュアリティ、アイデンティティ、誘惑、そしてカメラを同一平面上に漂わせ、どれかを完全に切り離すことはない。ゆるやかに編まれたイメージのフーガは互いに収束しながら、常にフレームの外にある何かへと茶目っ気たっぷりにウインクを送る。テクニカラーの閃光のようなカビの生えた桃の類型、リンジー・ローハンの過剰に合成されたイメージ、豪奢でありながらどこかどぎついシャネルの静物写真。それらは、協働者ルル・シルベールの親密で飾り気のないスナップショットや、画家ジョン・カリンのエロティックな緊張を帯びたスタジオを捉えた未解決の断片、皮肉めいたセルフポートレート、さらにはこの二十年にわたりエスリッジが築いてきた独自のイメージ世界への絶え間ない参照と並置される。そこでは写真は決して固定されることも、刺激を失うこともない。
これらの断片は、タイトルそのものと同じように、何が無作法で何がそうでないのかを問いかける。磨き上げられたイメージか、何気ないグリッチか、投げやりなスナップか、ラグジュアリーな静物か、それとも気象観測所のウェブカメラのスクリーンショットか。エスリッジは、多層的な時間が交錯する世界を研ぎ澄まし、欲望、消費、自己演出が完全に重なり合う地点へと導く。そこで写真は、私たち自身の欲望――何を見るのか、何を欲するのか、そしていかに振る舞うのか――を試し始める。
本書は、サラ・チャップリン・エスペノンとアーティストの共同編集によるもので、2026年1月22日から3月7日までガゴシアン・アテネで開催される個展にあわせて刊行。(publisher's description) 112p 30x24cm 71photos ソフトカバー 2026 English
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