スイス人キュレーター、美術批評家であるニコラ・トレンブリーの作品集。
「今日の工芸をこれほどまでに特異で魅力的なものにしているものとは、一体何なのか?」
作者は、これまで美術と工芸を巡る既成概念に挑戦する数多くのプロジェクトを企画してきた。たとえば、2010年にジュネーヴの「現代版画センター」で開催された「Sgrafo and Fat Lava: Ceramics and Porcelain Made in West Germany, 1960-1980」、2013年から2014年にかけてロンドンおよびニューヨークの「ペース・ギャラリー」にて開催された「Mingei: Are You Here?」、2022年にパリの「ギメ東洋美術館」で開催された「The Ceramics of Wifredo Lam」、またマシュー・ルッツ・キノイとナツコ・ウチノによる書籍『KERAMIKOS』(2021年、Walther König刊)などが挙げられる。
本書において作者は、美術、工芸、デザインの間に生まれる関係性について、洞察に満ちた独自の視点から考察を展開する。その過程で、知性と手仕事、実践と理論、職人と芸術家といった区分の恣意性についても問い直している。
キュレーターのヴェロニク・バケッタとの対話を通じ、自身のキュレーションの手法や展示という形式の力について思索を深めながら、作者は日本の民藝運動に関する研究や、さまざまなアーティストとの協働について語る。
また、フランスの博物館学者ジョルジュ・アンリ・リヴィエール、民藝運動家の柳宗悦、建築家のリナ・ボ・バルディらキュレーターによる先駆的な実践に言及しつつ、驚異の部屋、万国博覧会、民族誌的ジオラマ、ショーウィンドウ、現代美術家による展示実験に至るまで、展覧会史における重要な事例を辿ることで、作者は既存のヒエラルキーに抗い、モノ、文化、形式に対するより複雑で多層的な視点の必要性を提示している。
スイスのデザインスタジオ、「Norm」によるブックデザインのもと、多数の図版、展示風景、作者の蔵書写真、歴史資料が緻密に構成された本書は、展示という形式そのものをめぐる刺激的なヴィジュアル・エッセイとしても読むことができる。(publisher's description) 216p 28x21cm ハードカバー 2025 English
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