ジェームズ・ビアード賞受賞作家のアレクサンドラ・クラパンツァーノが、パリの家庭で焼かれているケーキの秘密を紹介します。いちばん簡単なヨーグルトケーキから、一見すると手が込んでいるようで実は驚くほど簡単なブッシュ・ド・ノエル、柚子のマドレーヌ、そしてお酒をきかせた小麦粉不使用のチョコレート菓子まで。
フランスのデザートと聞くと、私たちはつい、華やかに飾り立てられたお菓子や手の込んだコンフェクションを思い浮かべます。タルト・タタンを思い浮かべることはあっても、平日の夜にさっと作り、気軽に食卓に出すような手作りケーキとなると、あまりイメージしないのではないでしょうか。
ところが、それこそがパリの人々が家庭で作り、日常的に味わっているものなのです。ガトーとは、家族や友人と囲む食卓に並ぶ、シンプルでおいしいフランスのケーキ。甘いものだけでなく、塩味のものもあります。
フードコラムニストとしてパリの家庭の台所に足を運ぶうちに、クラパンツァーノは、そこにはある種のサヴォワールフェールーーーフランス人ならではの「心得」や「手際のよさ」――が息づいていることに気づきました。暮らしのあらゆる場面に、洗練と実用性を自然に溶け込ませる知恵です。
フランス人は概して、シェフやパン職人、パティシエと張り合おうとはしません。その一方で、パリの人々には料理上手な人が多く、夕食の最後には、手間をかけずに作った小さな甘いものをさりげなく食卓に添えるのがごく普通のことなのです。
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