アメリカ人フォトグラファー、レイモンド・ミークス(Raymond Meeks)の作品集。自分の娘が成人し、もうすぐ家を出ること触発された作者は、繊細さと揺るぎなさを同時に感じさせる風景を通じて、我々の暮らす場所が持つ遠心力と、この力がどのようにして私たちを引き留め、遠ざけ、私たちの元へ戻ってくるのかについて考察した。これらの写真の中では雑木林が庭に取って代わり、家々は積み重ねられた枕木の上に乗っている。また電話線と線路は、世界という荒野を歩いていくために私たちが作り上げたネットワークを示唆している。この家庭的な風景の中に時折顔を出す娘のポートレイトには、大人になったばかりの時期に特有の内省的な心情や好奇心が写し出されている一方で、被写体の意識という究極の謎への敬意が感じられる。前作「ciprian honey cathedral」の成果を受けた今回の写真集は、「家」と、薄明りの中に消えゆくにつれて益々力強くなる、私たちを家に結び付けている「絆」についての簡潔で詩的な考察になっている。
「私たちは広がり続ける輪の中で生きていますが、その本質や私たちを引き戻す力について改めて考えてみることはほぼありません。来年、私の娘は家を離れます。彼女もかつての私と同じように世界を探求したいという強い思いを持っています。私は父親として、土地との深い結びつきや、特定の土地をふるさととして大切にすることを教えることは重要だと常々感じてきました。もちろん、近年ではこうした理想も相対的な意味を持つようになりましたが…記憶の構造が失われていく中で、私は自分にとって身近なところを写真に撮ります。遠い昔に消えてなくなった部屋の固定された境界線に注ぐ光に物語を語らせようとしているのです」- レイモンド・ミークス
「父と娘の関係、理解することができない思春期を受容すること、若さに伴う自信をテーマにした夜明けの歌…名作」- Artdoc
「希望に溢れ、深いメランコリーが影を落とし、皮肉は微塵も感じさせないミークスの写真は、詩的に表現された人生の賛歌です」- British Journal of Photography
72p 24x17cm ハードカバー 2021 English.
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