日本人写真家、井上青龍と小島一郎による作品集。2007年にラットホールギャラリーで開催された展覧会「井上青龍 / 小島一郎」に伴い刊行された。1931年生まれの井上青龍は20才の頃より写真家岩宮武二に師事し、一貫してドキュメンタリー写真を志向した。労働者の街である大阪・釜ヶ崎を撮影した『釜ヶ崎』や新潟で朝鮮民主主義人民共和国に渡る在日朝鮮人を追った『北帰行』、奄美・徳之島での人々の生活を取材した『奄美』など社会性の強いテーマを持った作品で知られ、森山大道など多くの写真家たちに影響を与えた。展覧会では代表作《釜ヶ崎》を中心に展示。終戦後の高度成長期にさしかかる50年代後半、日雇い労働者が集まる大阪の釜ヶ崎に住み込み、そこに生活する人々の日常を記録した本シリーズは、「泣きたくなるほど好きであり、死んでしまいたいほど嫌い」な釜ヶ崎の現実に決して目を背ける事なく、長年にわたり撮り続けたもの。後に「骨のズイまで釜ヶ崎の人間になりたくても成り得ない事を苦しんでいた」と述べたように、愛憎入り交じった彼の優しく強いまなざしは、見るものを引きつけ、時に混沌とした生へ向き合わせてくれる。1924年生まれの小島一郎は故郷の青森を拠点に北国の風景を撮り続けた。写真家の父のもと幼い頃より写真に親しみ、中国から青森に復員した53年頃より本格的に津軽や下北半島を撮影しはじめる。名取洋之助と出会い一時は上京するも、常に北国をテーマに作品を撮り続けた。津軽半島の日本海に面した十三村の撮影について「何ものをも失い、白い大地にへばりついている姿、それはそのまま私自身の姿のようでもあり、あるいは又生きようとする人間の執念の姿なのかもしれない」と語ったように、敗戦後の焦土と化した故郷青森を目の当たりにし、それでもなお東北の厳しい風土の中で力強く生きる人々の生命力に取り憑かれた小島の写真は、今でも見る人に強烈な印象を与える。10年と短い写真家活動の中で残した作品の中から、展覧会では《津軽》を中心に展示。48p 26x22cm ハードカバー 2007 Japanese
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