70年代に都市部からカリフォルニアの秘境マトールの谷に移住したフラワーチルドレンたちが築いた小さなコミュニティがある町、ペトロリア。マトール川の決壊とともに固有種の鮭が遡上するこの美しい地で、写真家・岩根愛は鮭を迎える古い儀式の復活を試みる人たちと出会い、その決定的な瞬間の撮影に成功する。「2022年11月7日、初めてその瞬間の撮影に成功した。前夜の雨が干潟の先端に流れ込み、左右に広がっていく。ふくらんだ先端から、やがて一本の細い流れが溢れ出す。寄せては返す満潮の波は次第に引き込み合うように近づき、ついに堰き止められていた川の先端が海へと決壊した。その瞬間、干潟に溜まっていた水が一斉に海へと向かっていく。見たことのないような渦が生まれ、消えて、波へ、海へと引き込まれていった。生き物のようなうねりがあちこちへと這いまわり、やがて一時間ほどで渦は消える。ずっとそこにあったかのように川は海へ注ぎ、大きく、太くなっていった。私はいま、再会したマトールの河口に立つ。新しい流れが、私の内でもいま、開いたところだ。」(岩根愛)
写真集『KIPUKA』で鮮烈なデビューを果たし、同作で木村伊兵衛写真賞、伊奈信男賞をダブル受賞。その後も第3回プリピクテジャパンアワードを受賞するなど、活躍の場を世界に拡げる岩根愛が現在取り組むプロジェクト「The Opening」のプロローグとなる作品集。国際芸術センター青森で2024年7月13日から9月29日まで開催される「currents / undercurrents ─ いま、めくるめく流れは出会って」展〈後期〉に合わせて、M label No.44として刊行。限定1000部(サイン、エディションナンバー、日本語ペラ入り)32p 17x24cm 33photo ソフトカバー 2024 English
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