写真家ダニエル・ドーサが初めてグリーンランドを訪れたのは2023年のことだった。氷床研究グループ「S.I.L.A.」への取材機会を得たことがそのきっかけだった。S.I.L.A.は「Significance of Ice-loss to Landscapes(景観における氷喪失の重要性)」の頭文字をとった名称であり、同時に、物質的な世界だけでなく、そのなかで生きることの精神的理解をも意味するイヌイットの概念「Sila」に由来している。この研究グループは、氷河の融解と、それによって下流域にもたらされる影響を調査している。ドーサはその後も数年にわたりグリーンランドを訪れ続け、その仕事は次第に、一方では保全され、他方では変容しつつある土地の記録へと発展していった。そこでは、太古から続くリズムと新たな現実とが交錯している。本作は、疑似科学的なドキュメントであると同時に個人的な記録でもあり、グリーンランドという場所が、氷床そのものと同様に深い矛盾を内包していることを探求する。生命を育みながら生命を奪いもすること。太古から存在しながら絶えず変化し続けること。科学的探究の対象であると同時に、精神的な響きを宿す存在であること。この作品はそうした緊張関係を解決しようとするのではなく、むしろ受け入れる。収められたイメージは、単純な説明や分類を拒む土地の複雑さを映し出している。極限的な環境が大地と人々の暮らしを形づくるグリーンランドでは、不確実性が常に存在するなかでも、喜びはなお姿を現し続ける。タイトルは、気候変動が避けがたい現実として迫る一方で、人々がなおも光やつながり、意味を見出そうと手を伸ばし続けていることを示唆している。祝祭的でありながら内省的でもあるポートレートと風景写真の鮮やかな連なりを通して、本書は、気候的、政治的、文化的な大きな転換期に置かれたグリーンランドの矛盾と共存する姿を描き出している。(publisher's description)
144p 25cmx31cm 2026 English
*11月上旬入荷予定。
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