1960年代後半から70年代にかけて、従来の映像美学を覆すラディカルな作品によって日本の現代写真に大きな転換をもたらした写真家、中平卓馬は、同時にきわめて鋭敏な批評家として芸術と社会のあり方を根底から問いなおし、激動する時代に応答しつづけていた。本書はいまなおアクチュアルな輝きを失わないその思考の運動を現在の世界へと召喚し、年代順にその軌跡を辿ることを通して、今日における写真表現の可能性を再考するアンソロジーである。中平は77年に病に倒れて記憶の大半を失った後も、写真家としての活動を継続することによって立ち直り、撮影行為を通した自己解体と再生を繰り返しながら写真のもつ根源的な力を模索しつづけている。その特異な写真作品にアプローチする手掛かりとして、また広く現代社会をとりまく問題について考察し、芸術表現のゆくえを問うためにも必読の一冊である。 512p 2007 Japanese
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