滝沢がカメラを通し捉えてしまうものに建築物の断片や表面の形状、彫刻物がある。
それらの写し取られる対象物は、もともとの存在価値やそのものがあった場所の痕跡を宙づりにされ、行き場のない表層の実体感(物質感と気配)だけが別のフォーマットに定着させられる。
中心を失うことで新たな象徴性だけが全面に現れ、切り取られたイメージの重なりはまた別の文脈を生む事になる。
この本に写っているものは、元来持たされていた意味や関係性を失ってもなお、そのものの気配だけが、紙にプリントされ移動し彫刻やモニュメントのように改めて変換される行為が映し出されている。喪失し残された側だけを集め建て直す行為へと変換される。紙の集積を圧縮したような装丁はまるで時間が流れ風化し象徴性だけが存在する石碑のようであり、痕跡のモニュメント化を試みている。変換された行為の紙束を立体化することで滝沢の写真の試みを実体化する。
40p 21x30cm 30photo 150部限定 ハードカバー 2015
掲載のイメージや情報は発売前のリリース情報に基づいて制作する場合があり現物と異なる際は現物を優先させて頂きます。
こちらはShelfのオンラインストアのページです。実店舗の在庫、扱い商品については店舗へ直接お問い合わせください。