1960年福岡県生まれ。82年東京写真専門学校を卒業後、森山大道ら写真家たちによる自主運営ギャラリー「CAMP」などの活動を経て、88年にギャラリー「街道」を開設。以後自ら運営するギャラリーで活動していく。「街道」閉鎖までの4年間発表し続けたシリーズ『背高あわだち草』を92年にまとめた同名写真集で高い評価を得る。日本各地を旅し、どこかなつかしさを感じさせるさびれた地方の光景を、モノクロで撮影しつつもありがちなノスタルジアとは異なる微妙な空気感を醸し出す写真で根強いファンが多い。99年にカラープリントの現像機を暗室に入れて以降、ネガカラーでの撮影になり、2001年東京をとらえた写真集『TOKYO CANDY BOX』を刊行。続く『hysteric five』では、これまでモノクロで捉えてきた地方の風景をカラーで写しだし、カラーの独特の色合いのなかに、今ある時間と記憶が織り成す不思議な空気感を醸し出している。最近では、10年以上経た過去のネガを見直す事から、記憶の遠さの中で新たに生まれた感覚が生み出した印象的な『The Dog in France』などが刊行されており、また海外での評価も高く、03年に刊行後すぐに完売絶版となっていた『Slow Boat』は海外で再刊がなされた。(柳 喜悦)