ここ1〜2年、今最も人気のある存在と言われており、またそういえる活躍を続けている写真家。1968年 静岡県静岡市出身。24歳で写真を始める。95年の「写真新世紀」で優秀賞に選ばれた。97年の最初の写真集『生きている』が、大きな反響を呼ぶ。標識、ドアのノブ、マンションの階段、スクーターの座席、テーブルの上の灰皿……、ありふれた日常の眺めを写し、そこから溢れ出た透明な感傷がもたらす空気感が、多くの共感を呼んで人気を得る。以降は、CMをはじめとした映像にもその活動を展開。2002年自費出版した『MAP』で、第28回木村伊兵衛写真賞を受賞。多くの出版社から写真集を出すほか、自らの佐内正史写真事務所からも写真集を出すなど、出版数は数多い。デビュー作以来多くの作品集のアートディレクションを手掛けた町口覚さんの優れたデザインも含め、写真集という本としての写真にこだわっている作家でもある。(柳 喜悦)