国際的に有名なアーティストであり写真家である杉本博司は、静物写真の可能性を幅広く追求することで、現代において最も魅力的で謎めいた写真の数々を生み出してきた。本書は、過去50年間に制作された作品の包括的なサーベイであり、杉本博司の主要な写真シリーズすべてからセレクトされた作品と、彼の革新的でコンセプト主導の写真制作へのアプローチを照らし出すあまり知られていない作品を取り上げている。
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山上新平にとって世界は複雑で触れ難いものだった。カメラを手に山へと分け入り、そこにある木々を凝視して写真を撮る。崖の上から海に打ち寄せる波の表情を捉えて写真を撮る。山上にとってそれが世界と触れあう唯一の手段だった。ある日、山上の手に傷ついた蝶が止まった。その蝶は傷を負っても飛ぼうとした。その日から山上は蝶の写真を撮りはじめた。またたく命は山上にとって世界と自分とを繋ぐよりしろとなった。
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